韓国に住む外国人妻のはなし

韓国在住歴4年目になる韓国ライフ発信ブログ

台湾籍をもつ在韓中国人との婚姻

さて、本題はこちら。「台湾籍をもつ在韓中国人との婚姻」について。

この記事に出てくる、私の配偶者は「在韓中国人」であり、台湾に生まれた台湾国籍保有者が所持する台湾パスポートとは違い、パスポートの写真ページにナショナルID(パーソナルID番号)の記載がない。

要は、「台湾での市民権を持たない台湾国籍のような扱い。このナショナルIDの記載がない台湾パスポートというのが、少しトリッキーで、海外旅行をする際にビザの必要是非が「ナショナルIDのある台湾パスポート」とは違う取り扱いになるのだ。まぁ、残念ながら、「ナショナルIDがないと、ほとんどの国へ行くのにビザの発給が必要」と覚えておくほうが簡単なのだけれど。我々の居住する韓国では、彼は「永住権」を得ているので、諸外国から韓国へ入国する際にはビザは不要なわけである。

 

さて、話は逸れたが、「ナショナルIDの記載がない台湾パスポート」を所持する彼との婚姻は、一体どこへ届け出をしたらいいの?というのがまず第一の問題。

韓国の居住者なんだから、韓国の役所?

それとも、韓国に居住する外国人を管理する、出入国管理局

それとも、台湾人を管轄する台湾代表部?

それとも、元のルーツである中国大使館?

 

実はそのどれでもなく、彼の場合は「韓国華僑協会」への届け出が第一歩であった。「台湾国籍を所有する華僑の人々」を管理する当団体へ、「私たち結婚しました」と電話一本いれるだけの入籍届け。

実際には、窓口のおじいちゃまとのやり取りに電話一本だけでは済まず、“漢字の綴りが、台湾式と日本式で違う”だの、“結婚式はいつするの”だの(なんで結婚式の日付聞くの?と驚いていたら、「結婚式をまだ挙げていないなら手続きできない」とまで言われる始末…この時点で結婚式は半年以上先の予定だったため、おじいちゃまを説得(?)してなんとか手続きしてもらったが)、受理後の書類を見たら、やっぱり漢字がおかしい…だの、英語のスペルが間違ってる…だの。ひと悶着ありながら、なんとか華僑協会への婚姻届の提出は完了したのである。(何も提出はしていないが)

 

さて、長い闘いとなるのはここから。別に誰と闘いたいわけでもないのだが、とあるカップルが「結婚します」と言ってるだけなのに、日本のお役所の手続きはどうしてここまで煩雑になれるものか。

一般的に韓国籍をもつ韓国人と、韓国の役所へ婚姻届を提出したら、その役所が発行する「婚姻関係証明書」なり「家族関係証明書」なり、ふたりが婚姻関係にあることを証明する書類を日本の役所へ提出することで、日本への婚姻届の報告手続きが完了するわけだが。それは前記事で詳しく。

日本の役所へ提出書類を確認したところ、ふたりが婚姻関係にあることの証明として「戸籍謄本」を提出せよとのことなので、華僑協会から中国語で書かれた「戸籍謄本」を受領。これに、妻としてしっかり私の名前が入っていることを確認し、日本語訳を作成し、パスポート、韓国の外国人登録証明書など必要な限りすべての書類をもって、いざ、日本の役所へ向かった。

 

役所の窓口では「受理できるかこちらでは回答できないため、書類預かり後、法務局への判断を仰ぎ、また改めて連絡します」とのこと。

 

が、しかし。

書類を提出した数日後、

「法務局より『華僑協会』の書類では受理できないとの判断が下った。台湾国発行の戸籍謄本か、韓国公的機関発行の書類が必要との連絡を受けた。

 

それならば、と「台湾国発行の戸籍謄本」の発行を試みるため、台湾の大使館的役割を担うソウルの台湾代表部にかけ合うも、戸籍謄本の発行は不可とのこと。これは彼がナショナルIDの記載がない華僑の人間であり、「台湾国の市民」ではないからなんだそう。なんじゃそりゃ。

「韓国公的機関発行の書類」、これは確かに準備が必要そうだ。韓国には戸籍登録の制度がないため、戸籍謄本や住民票といった書類はそもそも存在できない。ましてや彼は、韓国籍をもたない外国人である。そこで、役所で発行される身分証明の書類として「外国人登録証明書」を準備することにした。出入国管理局って公的機関だろうと信じてやまなかったこの時。

 

***余談だが、今回婚姻届を提出しに行った窓口は、実家からすぐ近くの役所窓口(婚姻後は、この地へ本籍も移そうと考えていた)だった。事前に届け出の方法や提出書類について、メールで問い合わせをしたわけだが、

「日本国外にご住所のある日本人の方で、本籍地が当区ではない方の戸籍に関するお届けにつきましては、
本籍地にご相談・お届けいただくことをお願いしております。
届出を受ける本籍地によって、どのような必要書類が必要か、判断が異なる場合があるからです」

と相談自体、本籍地の役所で聞いてくれ、と断られてしまった。やれやれ、と田舎の本籍地まで足を延ばしてあーだこーだやっていた矢先、たまたま別件で問い合わせをしていた当窓口の係員が「入籍後の本籍地を当市へ変更する予定がおありなら、当市で当件承ります!」と引き受けてくださったのだ。その方の熱意(?)のおかげで、実家からすぐ近くの窓口でやり取りをすることができ、大変ありがたかったのだが、イレギュラーな案件に、ご担当の方も大変頭を悩まされたことだろうとも思う。私が言うのもなんだが、大変お疲れさまでした。そして改めて本当にありがとうございました。***

 

さて、話は戻り、「台湾国発行の戸籍謄本か、韓国公的機関発行の書類」いずれも準備することができないとなれば、別の作戦を試みることにした。前回の書類提出は「婚姻届の報告手続き」を目的として行ったものだった。華僑協会の発行する「私たちは婚姻関係にあります」という書類が受理されないのであれば、心機一転、「ハナから日本で婚姻届を提出したい」という手続きの流れで、進めてみようと試みた。そうした手続きであれば、ということで改めて役所に問い合わせたところ、必要書類は下記の通りだという。
・婚姻届 1部(証人2名の署名・押印)
【日本人側】
戸籍謄本(本籍地以外に婚姻届を提出する場合かつ取得後3か月以内)
【外国人側】
 1.台湾の戸籍謄本(日本語訳作成)
 2.国籍証明書(日本語訳作成)

台湾の戸籍謄本は出ないんだが?この件、何度話したらいいものか?再度台湾代表部に掛け合ってみたところ、「本国に問い合わせてみます」とまで言ってくださった。スケールがでかくなってる。スケールはでかくなったが、結局発行されなかった。なんじゃそりゃ。

そして、「国籍証明書」ってなんだ?パスポートが国籍を証明する唯一のものではないのか?韓国の役所、出入国管理局に問い合わせても「国籍証明書」を発行できる方法は見つからなかった。日本の役所担当者に、一体どこで発行してもらうものなのか問い合わせてみたが、「発行機関がどこになるかはご本人でお調べください」とのこと。おたくが提出せよという書類なんだがな。どこででも発行されないものなら、提出を迫っちゃあかんと思うけどな。まぁどっかの国はそういうのピピッと発行する機関があるんでしょうね。

ただし、国籍証明書のその代わり、外国人当人が当役所へ来庁できる場合は、パスポートでも可、ということなので遠路はるばる(といってもフライト2時間)韓国から彼を呼び寄せることにしたのである。

 

上記提出書類と共に、彼本人を引き連れ、今一度「韓国華僑協会」が提出する戸籍謄本、未婚証明書、出入国管理局が発行した「外国人登録証明書」(今思うと後半は懲りずによくもまた出したものだと思う)を再提出した。

前回同様、窓口の担当者は「書類預かり後、法務局への判断を仰ぎ、また改めて連絡します」とのことであった。今回は本人も遠路はるばる連れていたのだし、出入国管理局の書類も提出したし。

 

・・・が、しかし。

 

結果は受理不可という答えであった。書類提出した数日後、

「ソウルにある台湾代表部へ婚姻届提出し、婚姻届を成立させてから、韓国の領事館に婚姻届を提出。領事館から日本の役所へ通知手続きが行われる」とのこと。

台湾代表部、あぁ台湾代表部、台湾代表部。

仕方ないので台湾代表部へ3度目のトライ。「あんたたち、我々の管轄じゃないのよ・・・何度言ったら分かるの・・・」という溜め息をつかれながら(ついてなかったかもしれない)、婚姻届の提出自体は断られ、こんな方法であれば書類を提出してあげよう、と

「韓国華僑協会の発行する書類を、『台湾代表部が公式書類として証明する』という証明書を発行する」ことを提案された。2度とも日本の役所で許可が下りなかった華僑協会の戸籍謄本は、日本の役所が『華僑協会』を公式機関として認めていないからであるわけだから、日本の役所が公式機関として認める『台湾代表部』がそれを公式機関ないし公式書類として証明すれば、話が通るのでは、ということなのである。

この『証明する証明書』問題、実は台湾代表部と話しているときはそんなもの通用するわけないだろうと甘く見ていた。が、台湾代表部へ婚姻届を提出することもできなければ、それを韓国の領事館にどうこうすることもこの際できないのだから、もうヤケクソにこの『証明する証明書』を再度日本の役所へ提出することにした。これが日本の役所への3度目のトライだった。

 

「台湾市民ではないため、台湾代表部への婚姻届提出はできないこと」

「台湾市民ではないため、台湾代表部では戸籍謄本・国籍証明書は発行できないこと」

を再度説明したうえで下記書類を提出した。もうヤケクソだ。

・婚姻届 1部(証人2名の署名・押印)
【日本人側】
・戸籍謄本
【外国人側】

・パスポート
・韓国華僑協会の発行する戸籍謄本(日本語訳作成)

・韓国華僑協会の発行する未婚証明書(日本語訳作成)

中華民国文献証明書(日本語訳作成)←上記書類を公式書類として証明する証明書

・韓国出入国管理局の発行する外国人登録証明書

 

いざ。上記書類を提出し、いつもどおり「法務局へ確認の上・・・」を聞いた数日後、

 

やっと、やっと、やっとのこと、

ついに、受理完了!!!!!!!!!!

韓国の窓口(ネックだった韓国華僑協会)へ婚姻届を提出してから、約4か月間の死闘の末(晴れの話なので死闘とか言わない)、

やっと日本の役所でも婚姻届が受理されたのである!!!!!!!!!!!!

 

これでついに、韓国の地でも、日本の地でも、晴れて夫婦となったのであります。

 

 

※国籍やビザ、お住いの管轄によって必要書類が変わる場合があります。あくまでも当ブログは参考までにご覧になってください。